今年の夏は例年以上の猛暑。
北海道の夏も、都会と変わらないほどの熱気に包まれていた。
そんな中、俺は岩見沢に足を運んだ。この街にはどこか人を引き寄せるものがある。
ラーメン屋「味の一令」。この店はただの偶然では立ち寄れない店だ。
入口に立つと、すでに空調の効いた店内は満席で、外にはすぐに行列ができる。人気の高さが一目でわかる。
なんとか店内に入り、「特製味噌ラーメン」を注文する。
待っている間、目に留まったのは女性スタッフの見事な手際の良さだ。
厨房では、注文が次々とさばかれていくが、彼女たちは一切慌てることなく、客一人ひとりに丁寧な対応を見せる。
その流れるような動きは、まるで無駄のない一つの儀式を見ているかのようだった。
やがて運ばれてきた「特製味噌ラーメン」は、湯気が立ち、香ばしい味噌の香りが鼻をくすぐる。
スープを一口すすると、味噌の濃厚な深みとともに、何とも言えないまろやかさが広がる。
夏の暑さを忘れさせる冷たい空調の中で、この一杯の熱さが逆に心地よい。
麺はつややかで、適度なコシがあり、スープとの一体感が抜群だ。
過去に食べたどんなラーメンとも違うが、かつて千歳で味わった「一平」のラーメンが脳裏をかすめる。
若い頃に何度も通ったあの感動が、再びここで蘇るとは思いもよらなかった。
食べ終わる頃には、外はさらに行列が長くなっていた。
この店は、軽い気持ちで立ち寄れる場所ではない。それでも、ここに来るためなら、次も迷わず足を運ぶだろう。
食べ終わった俺は、女性スタッフの笑顔に送られながら、再び夏の陽射しの中に戻ったが、店内の涼しさとラーメンの熱さが、いつまでも記憶に残っていた。