はぐれ道中~旅情編~

時の止まる場所でどっぷり浸る、懐かしさと癒しの旅路

味わいの旅路

味わいの旅路(27)【焼肉居酒屋 五衞門・旭川】

旭川の焼肉居酒屋「五衛門」。 年季の入った店内は、どこか昭和の面影を残しており、まるでタイムスリップしたかのような感覚になる。 店内は煙が充満しているが、その中で客たちの笑い声がBGMのように聞こえてくる。煙と客の笑い声…この空気感こそが「五衛…

味わいの旅(26)【和田鮨・新橋】

和田鮨・新橋 新橋の和田鮨。ここは立ち食いの形式でありながら、鮮度の良いネタが驚くほどリーズナブルな価格で楽しめる。 この店には二人の職人が働いているが、いつも俺は、背中が丸くなった年配の職人の方のカウンターに案内される。彼の手さばきは、そ…

味わいの旅(25)日本海の絶景と石窯の香り【リップル・厚田】

3種のフンギ・厚田町のリップル リップルといえば仮想通貨を思い浮かべるが、厚田のリップルはまるで別世界だ。 ここでは、日本海を眺めながら、石窯で焼かれたピザと味わうことができる。休日には行列が絶えないが、その待ち時間すら厚田の豊かな自然の一…

味わいの旅(24)剣淵町の新たな味わい【世田谷下北ファーム・剣淵】

俺にとって剣淵町は、かつてはただ車で通り過ぎるだけのことが多い場所だったが、吉野シェフが手掛けるレストランに出会ってから、その印象は一変した。 八王子で生まれ、父の影響で料理の道へ進んだ吉野シェフは、フランス料理店で修行の後、世田谷の下北沢…

味わいの旅路(23)すすきので締めの味噌ラーメン【けやき・札幌】

けやきの味噌ラーメンを初めて食べたのは、約20年前。深夜のすすきので、その店にはいつも行列ができていた。 中太の縮れ麺は、弾力があり食感もいい。スープと絶妙に絡み合っている。 味噌のスープはまろやかなで、驚くほど深いコクがあり、ひと口目の瞬間…

味わいの旅路(22)若き日のルーティーン【やきそば屋・札幌】

やきそば屋(札幌市) 予備校生だったあの頃、麺類を食べることは俺にとってのルーティーンだった。 東京への夢を抱き、毎日英単語帳を繰り返し開く。勉強に区切りをつける合図のように、空腹を感じると自然と向かうのが、麺類の店。 ここ「やきそば屋」は、…

味わいの旅路(21)幻の蕎麦に出会う【華実地・岩見沢】

華実地・岩見沢市 今回、俺が行ったのは、岩見沢市の郊外にひっそりと店を構える「華実地(はなみち)」という蕎麦店だ。 この店は、今年の6月に岩見沢に開店したばかりだが、以前から熊本県でお店を営んでおり、今後は季節ごとに九州と北海道を行き来しなが…

味わいの旅路(20)街角の小さな聖地【ひのでそば・札幌】

ひのでそば・天玉そば(札幌) 1971年、札幌オリンピックの直前に開店した「ひのでそば」は、大通駅のすぐ近くに位置する立ち食いそば屋だ。 俺は予備校生時代から、小腹がすいた時に、立ち寄っていたので、もう約30年もの付き合いになる。 店内では、厨房を…

味わいの旅路(19)もやしそばが紡ぐ記憶【己城・田川】

石炭記念公園の像(福岡県田川市) 福岡県田川市、かつての炭鉱町に静かに息づく「もやしそば」。 この料理は、50年以上も前に「フッコー食堂」で生まれ、地元の人々に愛され続けてきた。 店が閉じた今、その味を蘇らせたのが己城氏である。己城氏が手掛ける…

味わいの旅路(18)もつ串と燗酒に包まれる夜【民謡・奈井江】

民謡の外観(奈井江町) 奈井江町の裏通りに佇む焼き鳥屋「民謡」。昭和39年創業のこの店は、時代の移ろいを静かに見守り続けてきた。 外見は古びているが、店に一歩足を踏み入れれば、店内では今どきの音楽が流れている。恐らく、おかみさんが好む男性グル…

味わいの旅路(17)ラーメンと寿司が織り成す絶妙なハーモニー【吉野鮨・奈井江】

吉野鮨のラーメン・生ちらしセット 奈井江町の吉野鮨に足を運ぶと、まず驚かされるのは、寿司屋でありながらラーメンが絶品だという点だ。1947年に小樽の吉野鮨からのれん分けをして開業した老舗だが、地元の人々のニーズに応えるうちに、ラーメンや定食がメ…

味わいの旅路(16)青春の味と、未だに残るあの日の敗北感【五丈原・札幌】

予備校時代、札幌で過ごした俺は、週に三度は「五丈原」の暖簾をくぐったものだ。あれから30年が経った今も、あの店は変わらず激戦区で繁盛している。俺がいつも頼むのは「とんしお」ラーメンだ。豚骨ベースのスープに塩味の繊細さが加わり、見事なバランス…

味わいの旅路(15)味噌とカツが織り成す絶品のハーモニー【寶龍美唄店・美唄】

寶龍美唄店の味噌カツラーメン 寶龍美唄店の味噌カツラーメンを食べるために、俺は年に何度もこの店に足を運んでいる。見た目の豪快さに反して、実に繊細な味わいが広がる。40年の歴史を誇るこの寶龍美唄店の暖簾をくぐると、大将とその家族が温かな声が迎え…

味わいの旅路(14)オリンピアンが創り出したソウルフード【かまだ屋・岩見沢】

かまだ屋の天そば 岩見沢を通り過ぎる時に腹が空いていれば、俺は必ず「かまだ屋」に足を運ぶ。 いわゆる立ち食いそばの店だが、ここの「天そば」は格別だ。道産小麦を使った自家製麺は、ただの一杯とは言えない深みがある。汁の甘みと天ぷらのサクサクした…

味わいの旅路(13)旅の終わりに食すあんかけ焼きそば【三八飯店・長万部】

道南を旅する際、いつも帰り道に立ち寄る場所がある。それが長万部にある「三八飯店」だ。 幼少期からこの店はそこにあり、大きな看板のインパクトから、かつては「浜チャンポン」が店名だと思い込んでいた。 だが、今ではこの店が旅の終わりを告げる場所と…

味わいの旅路(13)旅路に染みる函館牛乳の透明感【あいす118・函館】

函館空港の近く、小高い丘の上に静かに佇む牛乳工場、それが「函館牛乳」だ。 道南で育った俺にとって、この函館牛乳は特別な存在だった。 小さい頃から直売車で買っては飲み、そのスッキリとしたのど越しが今でも鮮明に思い出される。 今は旅の途中で、ドラ…

味わいの旅路(12)旅路で見つけた函館の小さな幸せ【焼き鳥ぜにや・函館】

函館への旅の途中で立ち寄るのが「ぜにや」。 この小さな店構えに引き寄せられるのは、ただ一つの理由。名物のコロッケだ。 コロッケといっても、実際にはメンチカツに近い。だが、店主がこれを「コロッケ」と呼ぶなら、異を唱えるつもりはない。 少し古びた…

味わいの旅路(11)波音に包まれて【ホテル恵風・恵山】

海の果てに続く道をたどり着くと、そこには静かに佇む「ホテル恵風」。 津軽海峡を望むその場所に立つと、周囲の喧騒はまるで遠く、ただ一定のリズムで打ち寄せる波音が耳に響く。 時間がゆっくりと流れ始め、自然が心を浄化してくれるような感覚に包まれる…

味わいの旅路(10)道の駅で感じる癒しと味わい【しかべ間歇泉公園・鹿部】

鹿部町といえば日本ハムファイターズの伊藤大海投手が有名だが、道の駅といえば、まず思い浮かぶのは「たらこ」と「間歇泉」だ。 この町に立ち寄る旅人たちは、豊かな海の恵みと自然の驚異を一度に楽しむことができる。 道の駅の食堂では、新鮮なタラコやホ…

味わいの旅路(9)北海道の道を繋ぐ小さな休息【きのこ王国・二木】

北海道を車で旅する時、よく立ち寄るのは「きのこ王国」だ。 大滝と二木の2つの拠点にその名を馳せるこの場所は、旅人にとってはまさにオアシスのような存在だ。 広大な駐車場には、いつもキャンピングカーやバイクを駆る「ミツバチ族」が集まっている。その…

味わいの旅路(8)時が止まった店で見つけた心のひと皿【かに太郎・白老町】

かに太郎の外観 どこか遠い過去へと時間が巻き戻されたような場所が、国道沿いに静かに佇んでいる。 その名は「かに太郎」。訪れたのは、白老町。 店の前に広がる太平洋の大きな海原に、自然と心が解き放たれる。 そしてその場所に、30分前に到着したのは偶…

味わいの旅路(7)夏に味わう、涼しさと熱さが交差する一杯【味の一令・岩見沢市】

味の一令 今年の夏は例年以上の猛暑。 北海道の夏も、都会と変わらないほどの熱気に包まれていた。 そんな中、俺は岩見沢に足を運んだ。この街にはどこか人を引き寄せるものがある。 ラーメン屋「味の一令」。この店はただの偶然では立ち寄れない店だ。 入口…

味わいの旅路(6)西新宿の隠れた時間【カブト・西新宿】

戦後の闇市時代から続くこの店は、狭い店内でうなぎの「ひととおり」を楽しむことができ、キンミヤ焼酎と梅シロップの絶妙な組み合わせが特徴です。店内では自然に隣の客と会話が生まれる温かな雰囲気が漂い、この場所自体が時代を超えて続く街の歴史を感じ…

味わいの旅路(5)高円寺の賑わいの中で味わう至福の一杯【ともちんラーメン・高円寺】

高円寺純情商店街 高円寺の通りを歩けば、人々の足音と賑わいが絶えない。 そんな場所に、「ともちんラーメン」はまるで流れに乗るようにその存在を示している。 派手な看板や目立った装飾はない。 それでも、店の前にはひときわ多くの人が立ち止まり、次々…

味わいの旅路(4)異国の風が交差する街・名古屋【味仙・名古屋】

名古屋(1) 4月の北海道は、まだ冬の名残を感じさせる寒さがあった。 その寒さを振り払うように、俺は千歳空港からセントレア空港へ飛び、蒲郡や常滑で競艇を楽しんだ後、次の行き先として名古屋の街に足を運んだ。 カメラを片手に、特に目的もなく名古屋…

味わいの旅路(3)網走への旅、その終着点は…【鮨restaurant Nabe・網走】

鮨restaurant Nabe(網走市) 網走へ向かう旅の理由はただひとつ。 「鮨restaurant Nabe」という親友が営むこの店を訪れるために、俺は北の大地へと足を運んだ。 目的地は他にない。どんな綺麗な風景が広がろうと、この店に辿り着くことだけが旅の意味を持っ…

味わいの旅路(2)旅路の小さな贅沢【とっぴ~・岩見沢】

道内を車で走っていると、時折、無性に寿司が恋しくなる瞬間がある。 そんな時、俺の心に浮かぶのは、回転寿司屋「とっぴ~」で提供される「イカ耳」の握りだ。 イカ耳とは、イカのエンペラ部分、つまり耳にあたる部分のこと。 その食感は他に類を見ない。口…

味わいの旅路(1)静寂と荒波の地で食べる宝石のまかない丼【レストハウス雄冬・増毛】

雄冬の町は、海と山が迫るように広がる小さな漁村だ。 この場所は、高倉健や倍賞千恵子が主演の映画「駅 station」ロケ地として知られ、映画ファンにとっては聖地のような存在となっている。 その静けさと荒々しい自然が旅人を引き寄せるが、旅の途中で立ち…