けやきの味噌ラーメンを初めて食べたのは、約20年前。深夜のすすきので、その店にはいつも行列ができていた。
中太の縮れ麺は、弾力があり食感もいい。スープと絶妙に絡み合っている。
味噌のスープはまろやかなで、驚くほど深いコクがあり、ひと口目の瞬間から、その旨さで五感が揺さぶられ、ついついスープを何度も口に運んでしまう。
若い頃、けやきの味噌ラーメンで締めくくるすすきのの夜には、わずかな寂しさがつきまとったものだ。いくつもの店をはしごしたせいで、財布が軽くなったからだ。
深夜、ラーメンの余韻に浸りながら、すすきのの喧騒から離れる瞬間、無茶な飲み方をしていた昔とは違う自分に気づく。
今では、もう少し落ち着いた夜の過ごし方を知っているが、あの頃の無鉄砲な夜もどこか懐かしく思う。